『週刊文春 編集長の仕事術』 レビュー

週刊文春は以前、テーマとして扱ったことがありますが、取材方針をぜひ知りたいと思い購入しました。
取材方針を知りたい理由は、文春が国会議員や大臣の不祥事を暴いてくれて、法律が道徳とかけ離れている理由を知ることができたからです。前々から日本のあらゆる制度に疑問を持っていたのです。

 

以前のブログでは文春の取材のエネルギーはお金ではなく感情からくるものだろうと書きましたが、読んだところ半分正解、半分間違いといったところだろう。そのことも含めて『週刊文春 編集長の仕事術』について数回に分けて書こうと思います。

(以下引用)
週刊誌作りの原点は「人間への興味」だ。(中略)
相手をネタや情報源として見たら、スクープはとれない。
(引用以上)

 

一般的に仕事に私情を入れると公私混同と批難されます。しかし文春の記者はあくまでもネタ元とは情報源ではなく人間として接するようです。

 

なるほど、機械的、ビジネスライクに「なぜ不倫をしたんですか」「どこでどんな話をして賄賂を受け取ったんですか」などと聞いてもすらすらと答えてくれるわけありませんからね。

 

いくら理屈だの論理だのいっても人間は感情で動く生き物なんですよね。この大原則に例外はありません。たとえば痩せたければ食べる量を減らして運動すればいい。当たり前なのですが、なかなかできませんよね。論理、理屈より感情の方が圧倒的に強いですから。

 

本では人間として接して情報を引き出した例として、元巨人軍の笠原投手が賭博で逮捕された事件があげられています。文春記者は様々な方法で笠原氏と「人と人」として仲良くなり、(具体的な方法は本を買って読んでね)最後には熱意が通じ、証言を取ることができたようです。

 

機械的に質問してすらすらと教えてくれるような情報だったら、情報としての希少価値はないでしょう。かといって「お金を払うから情報を教えて」ということもできません。なぜならお金のために嘘をつく可能性があるからです。

 

希少価値があって、事実だと信じることができる情報を人から引き出すには人間として相手と向き合い、信頼関係を築いていくしかないのです。

 

雑誌の仕事の本質を知ることができました。ライターとして参考にしたいと思います。

2017年03月29日